株式会社内部監査

 参議院議員選挙が終わり、自民、公明、共産といった既成政党の退潮と国民、参政といった新興政党の躍進が顕著に明暗を分ける結果となりました。それにしても、日本国民の賢明なバランス感覚に又しても驚かされます。与党が微妙に過半数割れし、どこかの野党と連携しなければ法案が通せないという勢力配置は国民が最もよしとする政策や法案を通すための仕組みとして望ましいものになったと思います。従来は自民党の派閥がその機能の一部を果たしていましたが、派閥が弊害化で消滅した今は時間は少しかかるかもしれませんが、野党との連携を模索する過程で論議が深まり、かつ透明性が向上すれば、民主主義としてこれ以上好ましい状態はないでしょう。政党の一強多弱であれば沈潜したであろう政策決定過程が好むと好まざるとを問わず公にならざるを得ないのは国民のために開かれた、熟慮の国会のために好ましい状況です。相互牽制のためのシステムがここに具現化されたことこそ、統治システムの本来の姿といってもよいと思います。

 相互牽制システムについてはたびたびお話ししてきましたが、企業の内部統制システムは国家の統治システムをもとに整備されてきたものです。国家の三権分立という相互牽制システムは運用に時間とコストがかかるのですが、企業活動においては一刻の停滞も許されません。企業における相互牽制システムは、分掌業務における各重要プロセスにおけるダブルチェックから始まり、管理者、経営陣によるリスクの確認・各管理者への報告徴求、事後検証などの体制の機能を発揮させていくことでスピーディかつ有効な内部統制機能の発揮を期待されます。業務の停滞をできる限り防止し、かつ成果を上げていくためには業務プロセスの中にこの仕組みを実装化しこれを機能させることです。

 内部監査では、事実確認、原因究明、評価と提言に分けて経営報告を行いますが、事実の確認を行う場合の重要なプロセスが、分掌業務に関する社内規程等のルールへの準拠性の確認です。準拠性とは、規程等に沿って業務が行われているか、業務の結果は正しいものか、について証跡に基づいて確認することですが、ここで把握された問題点があれば、規程等の定めに、役割と責任が明確化されているか、結果のモニタリング項目が明確化されているか、報告先が明示されているか、実務におけるダブルチェック等の仕組みが明確化されているか、など「川上」の「体制」の問題点に遡って確認を行います。いわゆる「そ・し・て・も・たい」(ルールの存在、周知、定着、モニタリング、対応の意)です。

 この準拠性の確認において内部監査人が意識したいことが「相互牽制システム」の整備状況の確認です。相互牽制とは最も端的にはダブルチェックが一般的ですが、実はモニタリングこそ相互牽制の肝ということができます。すなわち、モニタリングとは、重要な項目について管理者が確認し、報告する、経営陣はその報告をもとに判断する、ということですが、逆に言えば、会議体や面談等において経営陣から管理者に質問する、ということがポイントなのです。これにより管理者は自身の業務の準拠性を常に意識せざるを得ず、このことが組織内部に浸透すれば各担当者も意識が高まらざるを得ません。内部監査ではこのようなことも意識して実情の確認を進めていくと付加価値の高い監査となるように思います。

 小規模組織においては個別組織における相互牽制システムの整備が難しいという声をよくお聞きしますが、個別組織にこだわらず会議体やラインにおいてこのように「質問」と「報告」を定着させることで相互牽制システムの役割を実装化、機能化させることにもお気づきいただければと思います。(文責 代表 渡邊 2025年7月23日) 

   

内部監査の高度化支援、コンサル業務の一層の展開を行っていきます。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

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