株式会社内部監査

② 内部監査とは

 

1.内部監査の役割

●内部監査の役割は、客観的・独立的立場から組織における内部統制の有効性を確認すること。その意味で「経営者の目となり、耳となる」立場である。

 

2.内部監査における内部統制の有効性の確認の方法

(1)川下から川上への「事実」確認のプロセス

●内部監査により内部統制の有効性を評価するスタートは「事実」の確認。そのために、「現場」(川下)のリスク状況を「事前リスク調査」、「臨店実査」、「証跡」などにより把握し、被監査部門との事実認識のすり合わせを行って、「事実」の確定を行う。

(2)原因(真因)の把握

●各現場で発生した問題について、単なる「事象の確認」にとどまらず、なぜ、なぜを繰り返して、その真因を業務プロセスの上流にある管理者や管理部門の役割発揮が適切であったかどうかまでたどっていく。

●内部監査による確認の結果、会社組織における「川上」である管理者や管理部門が策定し機能させるべき内部統制機能、つまり方針、規程・ルール・ツールやマニュアル、点検方法や研修などが適切に策定し、機能発揮していない場合は、「川下」の問題は最終的に「川上」である経営者のガバナンスの問題である、と評価する。

●「真因」の確認手順 頭文字をとって「そしてもたい」といいます。

①ルールの存在の確認・・・運用手順が明確化されていたか  ・・・ 部門長等を中心に確認

②ルールの周知の確認・・・周知徹底できていたか ・・・ 部門長等を中心に確認

③ルールの定着の確認・・・定着していたか ・・・ 社員ヒアリングや証跡で確認

④ルール遵守の検証(モニタリング)の確認・・・管理者が実態を把握できていたか ・・・ 部門長等を中心に確認

⑤ルール違反への対処の確認・・・問題点への対応が適切に行われていたか ・・・部門長等を中心に確認

(3)ヒアリングの重要性

●内部監査で最も重要な作業が「事実」と「原因」の特定。「事実」とは、内部監査の着眼点(●●しているか、●●となっているか、●●か、)で設定したリスクの状況(仮設)に対する答えとして、内部監査部と被監査部門が合意した事実のこと。通常は、証跡や議事録などの記録を吟味し、ヒアリングを重ねて把握していく。

●「原因」とは、「不備を発生させた真因」を指す。「なぜ」を何回も繰り返していってたどり着いたものが真因となります。                        

    

③内部監査=業務監査における外部監査人の活用


 小企業では、内部監査専門部署を設置することだけでく、内部監査人を専任で置くことも、内部監査そのものの業務量が少ないために、難しいと考えている企業が多い現状です。

 しかし、「内部監査」という言葉だけで企業内部で内部監査を行わなければならないとは限りません。そのような「ルール」はありません。大切なことは、内部管理態勢の有効性・効率性を適切に評価することができれば、内部監査部門や内部監査人を社内に置くことは絶対条件ではないということです。その意味から「内部監査」というよりも「業務監査」と呼ぶ方が適切かもしれません。

 ちなみに会計監査は外部の監査法人などが行う「外部監査」ですが、これ「法定監査」と呼ばれるもので、法で定められたものですが、「業務監査」は内部でも外部でも特に定めはないのです。


④内部監査のための組織は必要


 外部監査によって「内部の業務監査」を行うことはできますが、これを「内部監査」として位置づけるためには、社内的な受皿」が必要です。具体的には、内部監査部門を組織上設置し、その担当役員や内部監査担当者を配置して、「外部監査人からの報告」を受け、自らの責任として経営報告を行うことは必要です。

 この仕組みがあれば、内部監査「業務」を外部監査人が行うことは特に問題はないと考えます。


内部管理態勢の有効性評価は経営の高度化にとってとても重要です。是非このような形をとったとしても、「業務監査=内部監査」を積極的に導入されてはいかがでしょうか。




                                              以上