内部監査の成長モデル
Ⅰ 内部監査とは
1.内部監査の目的
内部監査は、組織体の運営に価値を付加し、組織体の目標達成に役立つことを目的とします。
2.付加価値
付加価値とは、以下のことをいいます。
(1)経営陣に対して内部統制の有効性を確認し報告することにより安心感を与える
(2)未処理のリスクを洗い出して警告を発する
(3)経営陣・役職員に対して、リスクの削減と業務改善の取り組みを促す
(4)説明責任を果たす
(5)違反・逸脱行為に牽制をかける
3.内部監査態勢とは
内部監査態勢は、「仕組み(以下「体制」といいます。)とその「運用」で構成されますので、この二つがそれぞれ適切に機能を発揮して初めて、内部監査態勢が有効と判断します。ここでは、「体制」については内部監査部門が設置されていることを前提として、「内部監査人のスキル・能力・知識」を取り上げます。
Ⅱ 体制
1.内部監査人のスキル
(1)事前リスク評価
a.情報収集、リスク把握と評価
b.文章力
(2)臨店時
a.コミュニケーション
b.真因の究明
c.ヒアリングと記録・文章化・伝達
(3)共通
時間管理、工程管理
2.内部監査人の知識
(1)内部監査の専門性
a.リスクマネジメント
b.コントロール
c.ガバナンス
(2)その他知識
会社組織・業務の知識(事務、システム、財務を含む)
Ⅲ 運用
1.監査の実施
(1)関係構築力
a. 口頭表現力・説明力
b. コミュニケーション力
c. ヒアリング(聞き出す力)
(2)情報の識別・リスク分析・評価能力
a. 事実認定能力
b. 原因究明力
c. リスク評価能力
(3)記録・文章力
2.工程管理
(1)内部監査部門の運営力
a. 要員・能力を踏まえた計画の策定
b. 部門長の業務の監督とリーダーシップ
c. 部門としての工程管理
3.被監査部署の改善行動支援
内部監査における「情報の識別・リスク分析」の結果を踏まえて、内部監査部門は被監査部門の改善に向けた行動を促していくことが最も重要な仕事になります。そのためには、経営陣が被監査部署の改善行動を支援するように働きかけることに留意する必要があります。当局が、今回のモニタリングで志向している「第四段階」の内部監査も、まさにこの「経営陣のアドバイザー」としての内部監査部門のことを指しているといっても良いと思います。
Ⅳ 内部監査の成長モデル
1.整備を進めてきた内部監査部門
(1)内部監査部門のリスク認識・確認・評価
(2)被監査部署の内部監査結果の受容と改善取組の実施
2.トップクラスの内部監査部門
(1)経営陣の関与と支援
(2)改善実現、目標達成、成果実現
このように内部監査がその目的と役割を完遂することにより経営陣のアドバイザーとして、また、組織体の管理者の支援者として、組織体の目標達成に大きく貢献していくことができます。
以上